森林保全について考えるコラム、
3回目は森林整備の意義について考えたいと思います。
前回の記事でも触れましたが、
自然は自然のまま、そっとしておくことが良しと思う方も多いです。
しかし実際は、木の成長を計算しきちんと管理することが
まだ見ぬ未来でもずっと続けて森を生かすことに繋がります。
少し難しい言葉が出てきますが、
今回はじっくりと森林整備についての理解を深めていただこうと思います。
森林の管理方法
森の管理方法の一つに間伐(かんばつ)というものがあります。
間伐(かんばつ)は、成長している木々の中から特定の木を選んで伐採すること。
山の木が自然に育つと様々な木々が密集し、適切な光や栄養を受け取れず、成長が妨げられる場合があり
ます。また、密集していると森林全体に病気や害虫が広がりやすくなる恐れもあります。
間伐を行う目的まとめ
◆成長を妨げている木々を取り除く
→残る木々の成長を促進できる!
◆健康な木々の間隔を広げる
→十分な光や栄養を確保でき、病気や害虫の拡散を防げる!
そして、成長した木々ががっしりと土を掴み、土砂崩れを防ぎ、新たな動植物のすみかとなっていきます。
また、間伐の種類には、定性間伐と定量間伐の2種類があり、
場所に応じて適切な方法で整備していきます。
帯状間伐の現場より
特定の木の本数や林分の面積など、数量を基準にして行う『定量間伐』のひとつである『帯状間伐(おびじょうかんばつ)』の現場をご案内します。
帯状間伐は、森林内に樹高と同じ幅で間隔を空け、伐る帯と伐らない帯を設定することで、
光の入り込みや風の通り道を確保し、木々の成長を促進する間伐です。
伐った帯の跡地に苗木を植え、次の世代へ林業を渡していきます。
長い年月をかけて交互に伐採と植林を繰り返し、
持続性のある健康的な木々の成長に役立つ…まさにSDGsですね。
山が、帯状に尾根の方まで整然と間伐されている様子はとても美しく、自然の力を感じられます。
ちなみにここに植えているのはスギとヒノキ、共に建築資材などによく使用され、林業には欠かせない木です。
花粉症でもお馴染みのスギは長寿で、耐寒性があり、
風の遮断や防風林としての利用に適していて見た目も美しいので、公園などにもよく見かけますね。
スギは赤身と白太に分かれ、色が映えることから、家の内装に使われます。
お風呂でお馴染みのヒノキは、スギほど長寿ではなく、
80年ほどで中から『しみ』が生じますが、優れた耐久性があります。
建築用材料や家具、造船、室内装飾など幅広い分野、
また古来から日本の神社仏閣の柱や梁としても重宝されてきました。
長い年月をかけ、より良く育てた木を生かす(活かす)、
単に機械的に“整備”するのではなく、
このような生きた“循環”がとても大切なのです。
これこそが、森林整備の意義であると言えます。
その他の整備、ボランティアでも
間伐以外にも森にはいろいろな管理が必要です。
企業や団体の森林保全ボランティア活動として、『枝打ち』などをやってもらう事もあります。
枝打ち(えだうち)とは、木々の枝を切り取る作業を指します。
成長している木の中で競合する枝を取り除くことで、残された主要な枝に十分な光と栄養を供給し、
より健全な成長を促進します。腐食や害虫の被害が広がる可能性も抑えることができます。
企業、団体の方々のボランティア活動は、大きな力となり保全環境を変えていく力を持つと思います。
今後も、さまざまな繋がりから多くの方が森林保全についての理解を深められるよう、
積極的に働きかけていきたいと考えています。
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森林整備は、専門的な知識を要し誰でもが簡単に出来ることではないように思われがちですが
どのような活動が未来の森にどう繋がっているのか、
世代を問わず理解していただくことで、
これからを生きるみんなにとっていい環境を保つことに繋がると考えています。
興味関心を持っていただけるよう、
これからもいろいろな角度から発信をしていきます!
※全ての山林には土地所有者がいます。
危険も伴いますので、許可を得てから山林に入るようお願いいたします。